チーズプロフェッショナルへの道 その30       

 『チーズの教本』第3章 チーズを広める② チーズのサービス

By Alf van Beem – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34761299

 食事のコースにチーズが組み込まれるようになったのは20世紀のフランスから始まったようです。その後、チーズ自体のバリエーションの増加と共にそのシーンの多様性も深まって行き、現在では実に様々な形式でチーズが提供されています。ますます多様化するチーズがサーブされる環境の中で、チーズプロフェッショナルとしては、サービスの基礎を学んでおく必要があると「チーズの教本」は伝えています。

🌟 多様化するチーズの仕入れ

🧀コンセプトの決定

 販売店にしても飲食店にしても、チーズを仕入れる場合はコンセプトを決める必要があります。具体的には、

  • どのような方向性のチーズをどのような人に提供するのか
  • 合わせる料理や飲み物は
  • クオリティレベル
  • 仕入価格(原価把握)
  • 仕入ボリューム

 要するに、コストが掛かり長期の保存が効くものではないので、プロモーションを含むマーケティングをも考慮し計画的に仕入れる必要があるという事ですね。

🧀仕入先のタイプ

 現在は、様々なタイプの仕入れ先が存在していますが、何れにしても「安全性」が最も重要です。

  • 輸入販売商社
  • 百貨店
  • 専門店
  • 食材問屋
  • スーパーマーケット
  • 通信販売

🌟 本質、特性を理解して品揃えを決定

By Hu Totya – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3179625
🧀チーズの本質や特性を理解する

 チーズプロフェッショナルとしては、資料や文献等から得る情報も重要ですが、普段からさまざまなタイプのチーズに接してそれらの本質的な性質を実体験を通して理解しておく事が大切です。

🧀様々な角度からチーズを知る

 一般に物事は様々な視点から多面的に観る事で新たな発見・気づきがあったりするものですが、チーズにもいろんなディメンションがあり、以下のような視点から多角的に捉えるとそれぞれの個性がさらに強く感じられる事もあります。

  • 産地:チーズは自然環境に大きな影響を受けているため、産地の地理的特徴や気候を知る事は大きな意味があります。
  • 乳種:どのような地域のどのような動物の乳がベースになっているかで個性が変わります。
  • 季節:原料乳を出す動物の餌も季節によって大きな変化があるため「チーズには旬がある」と言われます。
  • 塾制度:同じチーズでも熟成の度合いにより異なるチーズと言える程の違いが生まれます。
🧀品揃えにおいて確認しておくべきポイント
  • タイプ
  • 原産国と地域
  • 乳種
  • 各国の代表チーズ
  • コンクール等での受賞歴
  • 原産地呼称取得実績
  • 料理や飲料とのマリアージュ
  • よりそのチーズに合うシーン

🌟 チーズの管理にこだわる

 まずチーズは5-10℃で管理する事が基本です。

🧀適切な保管方法
◉冷蔵庫
  • 冷風が直接当たらないようにする。
  • 形崩れしないように反転等行う
  • 他の食品の匂いを吸収しないようにする
  • 乾燥させない

◉包装資材
  • 最初に包まれている包装紙は使い回し過ぎると衛生面が低下する
  • ラップは乾燥を防ぐ目的には良いが、水気の多いシェーブルやブルーチーズはペーパータオルで包んでからラップをしないと蒸れて不快な匂いを発するリスクがある。
  • アルミはくは中身がとろけるほど柔らかいチーズの切り口に良い。また光を嫌うブルーチーズもアルミの方が好ましい。

 ◉密閉容器

 匂いやカビなどが移りやすいチーズは他のタイプのチーズと分けてタッパー等に分けて保管するのが好ましいです。またその場合、そこに簀子を敷くと適度に湿度を保つ事ができます。備長炭や特殊セラミックなどを使用すると脱臭効果や湿度コントロールが可能になりチーズのコンディションをキープできます。

🌟 美しいサービスを身につける

🧀提供までの一連の流れ

 仕入 ☞ 保管 ☞ 提供の準備 ☞ 切り分け ☞ 皿に盛り付け ☞ 提供
これらをスムーズに出来るような体制を常に取っておく事が重要です。

🧀チーズカットの道具
  1. クロタンナイフ:小さなシェーブルのカットに適した小さなナイフ。
  2. チーズナイフ:広くソフトチーズのカットに使用。ただオメガナイフの方が圧倒的に有名。
  3. オメガナイフ:汎用性の広い万能型ナイフ。片刃の物と両刃のものがある。
  4. ハードナイフ:硬いチーズをカットする時に使用。ただし、日本では殆どお目に掛からず。
  5. ドイツナイフ:大型のハードチーズやブリなどのカットに使用。
  6. ブリーナイフ:刃渡が長く刃の幅が細い。ブリードモーのような径の大きなチーズカットに適する。
  7. アーモンドナイフ:ハードチーズをつまみ用にクラッシュするのに特化した小型ナイフ。
  8. チーズスライサー:ハードチーズをスライスするためのもの。
  9. ギロチン:生地の脆いブルーチーズなどのホールを小さなブロックにするのに便利。
  10. ハンドリナー:ギロチン同様崩れやすい生地のチーズを手で推しながらカットするもの。
  11. ワイヤー:パルミジャーノ・レッジャーノ等ナイフが使えないチーズホールをカットする。
  12. チーズおろし器:ハードチーズをシュレッドにしたりグラインドしたりする。
  13. ホーベル削り:超硬質のハードチーズを薄く削るもの。
  14. ジロール:スイスの人気チーズをこれを用いて花びらのように削る。

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