偉大なるフランス ハードチーズの代表 コンテ(Comté) 

 フランスのハードチーズと言えばコンテ(Comté)。コンテと言えば、イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノと双璧をなす世界を代表するハードチーズの一つです。

 コンテはフランス東部のフランシュ=コンテ地方で作られ、熟成期間によって風味や食感が大きく変化して行きます。
 

コンテ(Comté)8ヶ月熟成と15ヶ月熟成

 コンテのホールチーズは、直径が55~75cm、重さが32~45kgもある、チーズの中でも最も大きなハードチーズです。その作り方の特徴は、部分脱脂した無殺菌の牛のミルクを使用する事、製造工程で凝固した乳のブロック(カード)を53度以上に上げる加熱圧搾タイプ。パルミジャーノ・レッジャーノ(イタリア)やグリュイエール(スイス)と同様ですが、この製法による事により、水分が少なく長期熟成に耐えられるチーズが出来上がるわけです。
 コンテの味の風味の特徴は、ホックリとした食感とナッツのような香ばしい風味。この風味がどこから生まれるのか、その原因を詳細に特定は出来ないようですが、どうやら

  • モンベリアード種を主とする牛の乳の特徴
  • 湿度と温度が管理された特殊な洞窟の環境が特有の微生物の繁殖を促進すること
  • このチーズが作られる地域(フランシュ=コンテ)の牧草に含まれる特有の植物成分

 と言ったあたりの理由が複合的に重なり、結果あの独特の風味を創り出しているものと思われます。

 今回は、8ヶ月熟成のものと15ヶ月熟成のものを食べ比べして、コンテの熟成の違いにより、それぞれどのようなお酒がマッチするかの検証をしてみましょう。

🌟購入データ

🌟Comtéの基本スペック

生産国🇫🇷フランス
地域フランシュ=コンテ地方
タイプ(CPAのグループ分けによる)ハード
乳種🐮牛(無殺菌)
熟成期間4ヶ月-30ヶ月
MS/ES(固形分中に於ける脂肪分量)最低45-54%
コンテ(Comté)の基本スペック

🌟コンテのテイスティングシート

8ヶ月熟成
外観外皮茶色く薄い外皮。
中身濃いクリーム色。外皮周辺から内部に向かって茶色いグラデーションがかっている。
テクスチャー触感硬く、指先で曲げると少し粘りながら綺麗に折れれる。
食感程よい硬さで口当たり滑らか。口溶けも良い。
風味香り香ばしいナッツのような香り。
ナッティで複雑な味わい。極端なクセが無く穏やかなテイスト。
Comté(8ヶ月)のテイスティングシート
15ヶ月熟成
外観外皮茶色く薄い外皮。
中身濃い黄色で、焦茶色のグラデーションが外から中央にかかっている。所どころ、白い斑点が見える。
テクスチャー触感硬く、指先で曲げると少し粘りながら綺麗に折れれる。
食感硬く、少しざらついた感触舌に残る。
風味香り香ばしいナッツのような香りが強い。
深いナッティな味わい。クセが無く食べやすい。
Comté(15ヶ月)のテイスティングシート

🌟コンテ お酒とのマッチングの検討 

 熟成浅めのコンテ8ヶ月の方は、コンテ独特のナッティな風味はありながらマイルドで食べやすい。一方、15ヶ月の方は、長期熟成独特のアミノ酸のシャリシャリ感もあり、強いナッティなフレーバーと強い旨みが特徴。どちらも極端な方向性の違いはありませんが、15ヶ月の方がより強いインパクトのもの方が合いそうな感じがします。いずれにしても、コンテの最大の特徴とも言えるナッティな風味は、いかにも「酒のアテ」としてのキャラクターを際立たせています。ビール、ハイボール、酎ハイと言ったお酒にも合いそう。

 そこで、フランスを代表するハードチーズコンテ8ヶ月熟成と15ヶ月熟成に赤ワインからハイボール辺りを中心にlet’s try チーズプラス!

🌟マッチングスコア

8ヶ月熟成
赤ワイン 重め ⚪︎赤ワイン 軽め
白ワイン ドライ 白ワイン フルーティ⚪︎
日本酒 淡麗⚪︎日本酒 芳醇
ビールハイボール
オンザロックカクテル
チューハイ⚪︎焼酎(ロック・水割り・
ソーダ割り・お湯割り)
⚪︎
コンテ8ヶ月熟成のマッチング分類
15ヶ月
赤ワイン 重め 赤ワイン 軽め
白ワイン ドライ ⚪︎白ワイン フルーティ
日本酒 淡麗日本酒 芳醇⚪︎
ビールハイボール⚪︎
オンザロックカクテル
チューハイ焼酎(ロック・水割り・
ソーダ割り・お湯割り)
⚪︎
コンテ15ヶ月熟成のマッチング分類
ハイボールとも相性はgoodなコンテ

 

熟成の長い15ヶ月と赤ワインは鉄板

🌟コンテ最強のマリアージュ

 

ハイボールと言えばサントリー角
シチリアのオーガニックMIRAL

 コンテ8ヶ月、15ヶ月のそれぞれのテイスティングの結果、どちらも比較的守備範囲の広さを感じましたが、敢えてピックアップすれば8ヶ月の方はハイボール、15ヶ月の方はややしっかり目の赤ワインというチョイスになりました。8ヶ月はややさっぱりした香ばしさで、とても食べやすい。特にクセも無いのでいわゆる酒のおつまみとしてとても幅広くマリアージュに用いる事ができます。そんな中でハイボールとの相性はとても良く、ポップな感覚でハイボールをベストに選びました。
 15ヶ月となると、ハードチーズの熟成の特徴のアミノ酸の結晶の食感も感じられ、やはりしっかりした赤ワインが間違いないです。今回はシチリアのオーガニックワイン、MIRALの赤をチョイス。

🌟コンテ 推奨の食べ方

 
 コンテは加熱して溶かしたり、シュレッドしてしまうと本来の繊細で複雑な味わいを楽しむことが出来ないので、なるべくカットしてそのままお召し上がる事をお勧めしたいです。コンテは、多くの場合適当なサイズに四角いカットで売られているので、カットの自由度が高いです。ただ、写真のように薄めに細長くカットすると美味しく食べられますし、また盛り付けがしやすくお勧めです。
 今回のように熟成違いで色々なお酒に合わせてみるとよりコンテを楽しくお召し上がれると思います。

細長く切ると食べやすく盛り付けしやすい

🌟コンテ Plus!

David Sanbornの名盤Voyeur

 フランスを代表のみならず世界のハードチーズの代表の一角を担うコンテ。クセが無く食べやすいこのチーズの愛好者は世界中に多いと思います。そしてポップ感を感じる味わいながら複雑な深みもあるという極めてユニークな特徴を持ちます。

 ポップ感と上質感を備えたコンテには、上質な演奏の音楽が合います。今回は、1980年リリースのDavid Sanbornのアルバム『Voyeur』から一曲目の『Let’s Just Say Goodbye』セレクトしました。フュージョンサックスの代表者デビッド・サンボーンのアルバムは名盤が多いですが、特にマーカス・ミラーのスラップベースから始まるこのアルバムは全編を通して素晴らしい。

 2025年の現在からすれば45年も前にリリースしたアルバムですが、時の隔たりを全く感じず、演奏にもアレンジにも陳腐な印象がどこにもありません。最高のメンバーに囲まれグルーヴィーサックスを吹きまくるサンボーンのアップテンポな名曲でチーズプラス!

 

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