チーズプロフェッショナルへの道 その4
『チーズの教本』第1章 チーズの製造の概要と分類
原料としての乳の話の後、いよいよ本格的な製造の話に入っていきます。チーズ製造に関するメインコンテンツは、各チーズの種類に応じた製造方法の違いを知り、そしてそれによって製品としてのチーズにどのような効果がもたらされるのか、といった情報をかなり深いところまで理解し記憶する事ですが、そのための準備としてチーズ製造の概要とナチュラルチーズの分類、乳製品の一般分類を学習します。
🌟ナチュラルチーズの定義と製造のアウトライン
ナチュラルチーズは「乳や脱脂乳をレンネットやその他の凝固剤によって凝固し、ホエイを分離したもの」とCODEX(国際食品規格)で定義されています。そしてチーズ製造は大まかに3工程から成っているとされています。
- 乳を凝固させ凝乳とするまで。
- 凝乳から水分(ホエイ)を分離・排出して成形(グリーンチーズと称される)するまで。
- グリーンチーズを熟成させて完成させるまで。
🌟ナチュラルチーズの分類について
🧀C.P.A.(チーズプロフェッショナル協会)による分類
ナチュラルチーズの分類の仕方は、各国によって区々ですが日本は1990年頃からフランスの方法を採用して7分類とし、長きに渡りそれをベースとして市場でも認知されて来ましたが、日本チーズプロフェッショナル協会は2021年の教本から下図に示すように6分類としました。
このような形式にした根拠は、製法のみならず微生物の働きによる違いを加味した事が主たる理由という説明がなされています。ただしチーズによっては、分類が被っていたり、またどこに属させたら適切なのか不明のものもあったりします。
何れにしても、どこに属するかを厳密に分類するよりも、チーズは「原料となる乳の種類」「製造方法の技術」「熟成における微生物の活動の特徴」によって特徴が形成され、それぞれ個別のチーズの特徴を理解する事が重要と示唆されています。
🧀様々な乳製品
乳を原料とする製品バリエーションを俯瞰する。
- 生乳:搾ったままの牛の乳。
- 牛乳:生乳を加熱処理したもの。
- 成分調整牛乳:生乳から脂肪分、固形分、水分などの成分の一部を除去したもの。無脂肪乳、低脂肪乳もここに属す。
- 加工乳:生乳にバターや脱脂粉乳等、他の乳製品を加え成分を調整したもの(例:ローファット牛乳)。
- 乳飲料:乳製品以外のもので調整したもの(例:コーヒー牛乳)。
- ヨーグルト:乳を乳酸菌の発酵により凝固させたもの。無脂乳固形分と乳酸菌数に規定が設けられている。我が国の分類(乳等省令)では「発酵乳」と分類される。酵母による発酵乳もある。
- クリーム:乳を静置或いは遠心分離機などによって得られた脂肪分の多い乳製品。乳等省令の定義は、「生乳、牛乳等から乳脂肪分以外の成分を除去したもの(乳脂肪分18.0%以上)」。
- バター:生乳から生成されたクリームを撹拌し、脂肪粒を集めて固めたもの。乳脂肪分80%以上で他は水分。
- バターミルク:クリームからバターを分離した後に残る液体。
- 脱脂乳:生乳から乳脂肪分を取り除いてできたもの。
- 脱脂粉乳:脱脂乳を乾燥させた粉。