チーズプロフェッショナルへの道 その8
『チーズの教本』第1章 チーズの食感と風味の形成
🌟チーズの食感形成
🧀熟成時間による変化
『チーズプロフェッショナルへの道 その6』の中でに記載したように、シネレシス工程においてシネレシス因子のコントロールにより様々な「硬さ」と「弾力性」を持ったグリーンチーズを作り分けることが出来ます。それぞれの特徴を持ったグリーンチーズは熟成の仕方がそれぞれ異なっており、熟成の結果おのおの特徴的なタイプのチーズが出来上がります。
- 「硬く」「弾力性ある」グリーンチーズ → 「滑らか」で「弾力性少ない」チーズへ
cf.エメンタール - 「軟かく」「しなやか」なグリーンチーズ → 「軟らかく」「しなやかではない」チーズへ
cf. モッツァレッラ - 「硬く」「しなやか」なグリーンチーズ → 「硬く」「もろく崩れる」チーズへ
cf.グラナ・パダーノ - 「軟かく」「もろく崩れる」グリーンチーズ → 「流動性ある」「なめらか」なチーズへ
cf.カマンベール
上記のいずれも、チーズが熟成する事によりたんぱく質が分解されて起こる変化です。
🧀脂肪分量による違い
チーズが包含する脂肪量は口当たりの滑らかさに大きく左右します。従い、チーズ製造段階の初期「乳の脂肪分調整」の工程で、
・クリームを添加して滑らかを加える
・脱脂乳を添加してチーズ内の脂肪分を抑えもろい食感にする
等の操作が行われる場合もあります。また、熟成に伴う脂肪の分解により滑らかさもやや増すものと考えられています。
🌟チーズの風味形成の要素
出来上がったグリーンチーズは、乳酸菌由来の酸味や加塩工程によって足された塩味は感じられるものの旨味や深みのある風味というものは感じられません。しかしながら、一定の環境の中で熟成をさせる事により時間と共に風味が出て来ます。
これは、それぞれの主要な成分が各種酵素によって分解され風味物質を生成する事によるものですが、分解されたそれぞれの物質がさらに分解されたり合成されたししながら深みのある風味を形成して行きます。以下が、主要な成分と分解された物質の名称とフローです。
このフローチャートは熟成をさせる様々なナチュラルチーズの特徴を理解する上でとても助けになる、かつチーズプロフェッショナル試験においては重要な意味を持っている図です。