チーズプロフェッショナルへの道 その32(最終章)
チーズプロフェッショナル試験 2024年を終えて
2024年のチーズプロフェッショナル試験は、1次試験が7月28日、2次試験は10月7日に行われました。2023年に1次試験を守備良くパスしながらも2次試験にて辛酸を舐める結果となった私ふおるまじ男は、10月の2次試験から受験に参入しました。さて、その結果は??
10月に向けた準備と実際の試験の状況、そしてその結果についてお伝えします。
🌟 結果は、1年半越しで漸くチーズプロフェッショナル取得。
🧀念願叶ってリベンジを果たす
2023年の1年目は新宿にあるレコール・デュ・ヴァンに1次試験対策から通いました。こちらの学校は、フランス語の名称通り基本的にはワインの学校なのですが、チーズプロフェッショナルコースが併設されており、3月下旬あたりからスタートします。自分は、この学校のワインとチーズのどちらも主任を勤めていらっしゃる山田好美先生のクラスに入り、チーズの事を1から教わりました。チーズの勉強の初年度、山田先生でなければ途中で断念していたのではないかと思うくらい自分にとっては素晴らしい先生でした。ただし、自分の力不足により2次敗退という憂き目を見ました。
2年目は2次対策講座として、業界内の評判が良く、また家から通いやすかった事も会ってかじたいずみチーズ教室に通うことにしました。今年の7月辺りから始まった2次試験用講座に通ったのですが、もう講座が始まる前のレベルチェック試験の時から目からウロコ。チーズの製造に関して自分がいかに理解していなかったかをまざまざと見せつけられる展開に。初年度も1次は通っていただけに、多少の自信もあったところすっかりそれを打ち砕かれました。自分の知識が浅い事を知るのはまぁまぁ屈辱的な事でもあるのですが、しかしながら、試験に通ることよりキチンとした知識を身につけたい自分にとっては、むしろ「去年落ちて良かったわ」と思うほどの衝撃でした。
自己分析では、1年目に欠けていた部分が2年目に良い具合に穴埋めができたためにリベンジが果たせたと思います。
1年目も2年目も自分にとって必要不可欠な時間であったのだと思われ、二人の師匠に心から感謝する次第です。
🧀試験内容以前のダイジな話
去年の反省から、今年の試験について試験の内容的な事の前に、「絶対」としていた個人的な課題があります。それは、
- 腕時計を持っていく
- 簡単な単語はなるべく漢字を用い、読みやすい字を書く
1.については、昨年度の笑えない大失態です。
まず会場には時計がないため、時計は持参しなければなりません。そして通信機能のついた時計は使えないため、腕時計を「必ず」持っていかなければならない、という事は受験案内にも書いてある事です。それを知りながらも、昨今は時間をスマホで確認をする習慣が強力に身についてしまっており、うっかり持って行き忘れたわけです。まぁ心の準備が足りなかったという事ですね。
2.については、これも現代的な病のひとつかもしれませんが、手書きで文字を書く機会が極端に少なくなっているため、恐ろしく字を書くことがヘタクソになってしまっていた事。読める漢字もいざ書こうとすると書けない。そして、うる覚えの漢字は思い出すのに迷いながら書くため時間が掛かるし、字が汚くなる(さらに時間が分からないため益々パニックを起こすという最悪の状況)。
そんな苦難の経験から、個人的にはチーズの勉強内容よりもこの二つに重きを置いて臨みました。
🌟 2024年チーズプロフェッショナル試験に関して
🧀試験内容と実況中継的解説
今年の2次試験の問題は、
- 4種チーズのテイスティングと評価、知識を問う問題
- 3種のチーズの食べ比べ会を企画する問題
- 具体的なチーズカットの方法を問う問題(カマンベール ド ノルマンディー、ブリー・ド・モー)
- シャロレの代替を提案する問題
- 小学生向けのセミナーを企画する問題
- 酵素に関する知識を問う問題
- チーズに使う食塩に関する問題
といったラインナップで、滅茶苦茶難しいという事もなく、かと言って当たり前過ぎる問題でもなく、比較的良質な問題であった印象です。自身の自分は、基礎知識については良く準備が出来ていたので、答案を出来るところからむしろ全般的に楽しみながら書いて行きました。今年は腕時計をちゃんと持って行ったため時間配分がスムーズに出来、最後は少し時間が余る形でした。
しかしながら、勉強仲間達の打ち上げで小さな取りこぼしが3つ、4つと判明し、去年の2次落ちの時の状況の再現が頭をよぎりちょっと不安になりました。全体に、実際にどれほどの出来だったかは分からないのですが、結果合格出来たということは、多くの部分では比較的妥当な内容が書けていたのだろうと思います。
🧀2024年チーズプロフェッショナル試験の合格率
さて、では今年の試験の難易度と合格率はどのような形だったのでしょうか?
チーズプロフェッショナル協会の発表では、今年は、
- 一次試験:受験者 241人 合格者 154人 63.9%
- 二次試験:受験者 263人 合格者 143人 54.4%
以前掲出した、過去の合格率と並べてみると、
実施年 | 1次試験受験者 | 1次合格者数 | 1次合格率 | 2次試験受験者 | 2次合格者数 | 2次合格率 |
2019年 | 539 | 268 | 49.7% | 343 | 172 | 50% |
2020年 | 347 | 217 | 62.5% | 292 | 122 | 41.7% |
2021年 | 403 | 176 | 43.7% | 266 | 124 | 46.6% |
2022年 | 442 | 241 | 54.5% | 296 | 99 | 33.4% |
2023年 | 388 | 186 | 35.1% | 241 | 86 | 35.7 % |
2024年 | 241 | 154 | 63.9% | 263 | 143 | 54.4% |
という結果になり、数字上でも明らかに2019年よりも合格しやすかった事が伺えますね。
本来の主題は「チーズを広める」事にあるという認識のため、闇雲に試験を難しくして合格率を低くすることは避けるべきと個人的には思うので、この傾向は悪くはないのではないかと思います。
ただ、同時にちょっと気になるのは、今年の1次試験の受験者数ですね。241人はちょっと少なかった去年よりも6割近く減っています。この辺りは、チーズプロフェッショナル協会の方々には客観的に状況を把握していただき、試験の内容や趣旨を検討して頂く余地が大いにあるように思います。